ソニー製APS-C用Eマウントズームレンズ
E PZ 18-105mm F4 G OSS

 APS-C用のSONY Eマウントレンズで、焦点距離が18mmから105mmとズーム倍率約5.8倍のレンズです。F値はズーム全域でF4で、パワーズームも搭載しており、動画撮影に使いやすいレンズです。明るさやズーム比のわりに安価な価格設定で、定価は税込で82,500円です。

写真 L04_photo_01 レンズ前部からと後部から

外観

 外観はレンズ前部、本体、マウント付近で3段階に径が異なる、一昔前の典型的な動画用ズームレンズといったデザインです。といってもSONYのEマウントレンズは、ほとんどの製品でマウント部分で一段細くなっており、手ブレ補正やサーボズーム、オートフォーカスなどの機構を組み込むには、マウントの直径が小さいのかもしれません。
 レンズ本体前部の一番径の大きな部分がツヤのある仕上げ、レンズ本体中央からマウント側が、砂などを吹き付けたような少しザラっとした手触りの半光沢仕上げと、部分によって仕上げを変えてあります。恐らく、本体中央部分は滑り止めのためにこういった仕上げになっているのだと思います。鏡胴部分は全体にアルミニウムをアルマイト処理したような仕上げで、しっかりとした作りです。
 レンズ前部から順にフォーカスリング、ズームリング、電動ズーム用のズームレバーが装備されています。フォーカス・ズームリングはどちらも機械的にレンズ機構に噛み合ったものではなく、電気的に制御信号を入力するためのスイッチとしてのリングです。動きは良く言えば滑らか、悪く言えばスカスカといった感触で、こういった電子制御タイプのレンズの典型的な操作感です。

写真 L04_photo_02 レンズの各種操作部分

 フォーカスリングは、動きだすときに僅かに抵抗感があります。決して「重い」というわけではないのですが、ほんの少しフォーカスを動かすといった操作をする際には若干使いづらいです。ズームリングの方は動き始めから滑らかです。各リングの応答性は悪くないのですが、マニュアルレンズの操作感には及ばないといった印象です。フォーカスはオートフォーカスを、ズームは電動ズームを上手く使い、補助的に操作リングでマニュアル操作をするといった使い方が向いているのだろうと思います。
 ズームやフォーカス操作時にレンズ全長が変化しない、インナーズーム、インナーフォーカス方式で、こういった部分も動画撮影に向いていると思います。
 レンズの付属品として、バイヨネット式の花形フードが付属します。フィルター径は72mmです。

写真 L04_photo_03 FX30に取り付けたところ

描写

 ズーム全域で開放からよく写ると思います。特に不満のない写り具合です。動画 L04_movie_01では、左上にカット番号を記載しています。(レンズについてのブログ記事を掲載してから「ズーム全域で開放からよく写る」としか書いていない気もします。今どきのレンズは非球面レンズなどの特殊レンズをふんだんに使う設計がされているので、破綻した描写をするレンズの方が珍しいかもしれません。)
 動画 L04_movie_01は、カメラ側のレンズ補正機能を「オート」にした状態で撮影しています。レンズテストという意味では、全ての補正設定をoffにするべきかもしれませんが、実際に撮影するときと同じ状態で試した方が写り具合を判断できると思い、補正機能を使ってテストしています。カメラごとにレンズ補正機能に差があるのかはよく知りません。場合によっては、FX30と組み合わせるとこの程度は写る、と考えて頂いた方が良いかもしれません。

動画 L04_movie_01

 カット4やカット7でボケの輪郭が強く、もうちょっと柔らかくボケても良いかとも思いますが、ボケの輪郭云々というのは、もうちょっと価格的に上のランクのレンズか、単焦点レンズに期待する部分かもしれません。この価格のズームレンズとして申し分のない写りだと思います。

ズーム

 型番のPZが示すとおり、パワーズーム搭載です。電動ズームのスピードは、メーカーのホームページの商品ページに無段階と記載されており、レンズ本体のズームレバーのスライド具合によって、様々なスピードでズームすることができます。
 モーター音は静かで、ほぼ気になりません。FX30にXLRハンドルをつけて、ガンマイクの感度を目一杯あげると僅かに気になる程度です。後処理で相当に音声ゲインを上げるような小さな音の収録ではズームモーターの音が気になるかもしれませんが、通常の撮影ではほとんど気にならないと思います。前回XLRハンドル使用時のモーター音について記載したE PZ 10-20mm F4 Gと比較すると、無音といっても良いレベルです。

動画 L04_movie_02

 レンズ本体で操作した場合のズームスピードの変化がかなりデリケートなので、最低速が上手く出せているかちょっと自信がありません。ズーム・インよりもズーム・アウトの方がゆっくりにできたかもしれません。ズームレバーの操作幅が小さいせいもありますが、ほんの少しで速度が変わり、ズームスピードが無段階というのは大袈裟な表現ではないと思います。

手ブレ補正

 型番末尾の「OSS」が示すとおり、手ぶれ補正機能が搭載されています。特に強力にブレを吸収するといった印象はありませんが、FX30のアクティブ手ブレ補正と組み合わせると、手持ち撮影での安定感はかなり高くなります。

動画 L04_movie_03

 動画 L04_movie_04は、広角18mmでFX30のアクティブ手ブレ補正をONにして歩き撮りをしたものです。レンズ全長が長いためにグリップよりも前側に重心がくるなど、手持ちで歩き撮りをするにはバランスが悪く、滑らかに撮るのは(私には)難しいです。

動画 L04_movie_04

全体的にみて

 FX30購入時に一緒に購入したレンズで、初めて買ったEマウントレンズです。現在4本のレンズを所有していますが、その中で最も無難で欠点のないレンズだと思います。欲を言えば、もう一息ワイドがあればとか、もう一息ズーム倍率があればといった物足りなさはあるものの、使ってみて思いがけず不満な点があったといった、スペック表に現れないような点での不満がないレンズです。動画撮影用に多様に使えるレンズを1本だけ選ぶなら、このレンズになるのではと思います。ズーム倍率やF値に華がないようにも思えますが、6倍弱のズーム倍率にF4通しの無段階サーボズーム搭載といったスペックで、定価が8万円ちょっとというのはかなりコストパフォーマンスの高いレンズだと思います。

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