ホール撮影でのレンズ選びと水平画角

 コンサートの収録など、ホールでの撮影時に焦点距離何mmのレンズを用意すれば良いか、という話です。こういった撮影に慣れている方ならば、客席数などの情報から必要な焦点距離のレンズを判断できるのだと思います。しかし、ホールでの撮影を頻繁におこなっていないと、ホールのキャパシティといった程度の情報から撮影できる画角の判断をするのは難しいと思います。
 また、ホールのレイアウトも前後に長いものから横に長いものなど案外様々で、ステージ全体を画面に収めるにはワイド側で何mmのレンズが必要なのかといったことにも悩みます。
 そういった場合に、使用しているカメラのセンサーサイズから各焦点距離の水平画角を図にしておくと、簡単に焦点距離ごとの撮影できるサイズを確認することができます。

水平画角図とホール図面

 v07_fig_01は、各焦点距離と水平画角の関係を図にしたものです。左下には、APS-Cセンサーとマイクロフォーサーズの焦点距離と水平画角の関係も記載してあります。
 この図をホールの図面に重ねると、何mmのレンズでどの程度の画角が得られるかを簡単に確認することができます。(高解像度な画像は後でリンクを貼ってあります。)

図 v07_fig_01
水平画角図とAPS-Cセンサー/MFTセンサーの焦点距離と水平画角一覧

 多くの場合「○○ホール 図面」で検索すると、平面図や側面図を入手することができます。v07_fig_01の図をホールの平面図に重ねると、図面の縮尺を問わずに各焦点距離のレンズでの撮影サイズを確認することができます。平面図を適当なサイズに拡大・縮小しても問題ありません。ただし、図面の縦横比が狂うと正しく画角を確認することができません。入手できる平面図の縦横比がある程度正確であることはもちろん、図面の拡大縮小時に縦横比が狂ってしまわないよう注意が必要です。

水平画角図高解像度版

 AdobeのIllustratorで作成しました。Illustratorのファイルと、背景を透明処理したpng画像をGoogle Driveに置いておきます。必要な方は以下のリンクからダウンロードしてご利用ください。

png画像

Aiファイル

 png画像の場合は、photoshopなどの画像処理ソフトで開き、水平画角図の下にホール図面を配置します。
 Illustratorファイルの場合はIllustratorで開き、図の下にホール図面を配置します。水平画角の図とホール平面図とを異なるレイヤーに配置すると、操作しやすいです。
 v07_fig_02は図面と重ねた状態です。既存の平面図を勝手に拝借するわけにもいかないので、適当に作図した架空の平面図です。
 画角を示す線が収束している部分が撮影位置となるように、位置を合わせます。APS-Cで450mmの焦点距離で撮影した場合、水平画角は3度です。この画角でステージを撮影すると、およそ客席2つ分程度の横幅を収めるサイズで撮影できそうです。

図 v07_fig_02
図面と重ねた状態

 ホール図面によっては2m程度の区切りでマス目が書き込まれているものもあります。そのマス目を参考にすることで、ステージ上の人物をどの程度のサイズで撮影できるかを予想することもできます。

水平画角の計算

 センサーサイズが異なると、焦点距離と水平画角の関係は変わってきます。フルサイズセンサーの焦点距離と水平画角の関係などをご自分で計算したい場合は、以下のサイトや計算式を参考にしてください。
 ネットを検索してみると、計算サイト「ke!+san」というサイトがありました。このサイトで、イメージセンサーサイズを選択し、レンズの焦点距離を入力すれば水平画角、垂直画角、対角画角を求めることができます。

 私は一々数値を入力するのが面倒なので、上記のサイトに記載されている式などを参考に、表計算アプリで計算できるようにしました。計算式は以下です。
=ATAN(「センサーの横幅」/「焦点距離」)*180/PI()
 v07_fig_03の「fx」欄に記載されているのが、実際に表計算アプリに入力した式です。

Googleスプレッドシート画面
v07_fig_03 水平画角の計算式が上部の「fx」欄に表示されています

 画面の縦方向に対して人物がどの程度のサイズで収まるかを知りたい場合は、垂直画角の図も作っておくと側面図に重ねることである程度の予想は可能です

まとめ

 ホール撮影の際に何度かこの方法で使用レンズを選定してきましたが、大きな誤差はありません。ホールでの撮影の場合、電源の確保など様々なことを確認する必要があるので、可能ならば現地に赴くのに越したことはありません。しかし、スケジュールなどの関係で現地を下見できない場合もあります。レンズ画角の確認だけならば、この方法である程度正確に把握できます。

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