MacでDVD作成時のエラー/最後のチャプタが消える

 23.98fpsの素材からAppleのCompressor(4.10.1)で29.97fpsインターレースのmv2に変換したとき、或いは古いバージョンのCompressor(4.6.4)でDVDを作成したときに、動画ファイルの長さの表示に誤差が出るようです。なお、Mac OSのバージョンは15.6.1での結果です。

Toast20で

 23.98fpsの完成動画ファイルをAppleのCompressorで29.97fpsに2・3プルダウン処理しつつDVD用のmpegファイルに変換し、Toast20のクラッシック表示に読み込んだ場合、チャプタ作成画面で動画の末尾が切れてしまいます。このToast20で作成したデータをDVDディスクに焼いたものは最後まで収録されているのですが、チャプタ作成画面では本来の動画の長さよりも短く表示されてしまいます。そのため、動画のラスト近くにチャプタを打つことができません。

Toast20pro画面 pc11_fig_01
本来は1時間36分22秒の動画だが、表示では1時間29分57秒になっている

 この長さが短く表示される現象は、全体を縮小しているのではなく、末尾の数分が切れて表示されているようです。

Compressorで

  同じ23.98fpsの完成動画ファイルを、まだDVD作成機能の残っている古いMacのCompressor(4.6.4)でDVDにエンコードしても、作成したDVDからは最後のチャプタが消えてしまいました。Compressorでも同様の現象が起きることから、これはToast20の問題ではなく、Mac OSやプロアプリケーション、Quick Time等に起因する問題のようです。

Quick Timeで

 各動画ファイルをQuick Timeで開いてみました。

  • 23.98fpsの完成動画ファイル(ProRes422)は長さが1時間36分22秒
  • このProResファイルをCompressorで2・3プルダウン処理を施して29.97fpsインターレース映像に変換したProRes422ファイルは、マスターと同じ1時間36分22秒
  • 23.98fpsファイルをDVD用のmv2に変換したファイルは、1時間29分57秒
  • 23.98fpsファイルを古いMacのCompressor(4.6.4)でmv2に変換したファイルは、1時間34分01秒

 年に一度収録している映像編集作業で気づいたので、昨年はどうだったかと昨年撮影編集したファイルを確認してみました。

  • 23.98fpsの完成動画ファイル(ProRes422)は長さが1時間48分49秒
  • 古いMacのCompressor(4.6.4)で完成動画ファイルをmv2に変換したものは、2時間13分47秒

 なお、ここで使用しているMac OSのバージョンは15.6.1、Compressorのバージョンは4.10.1です。この不具合に気づいた後にCompressorが4.11にアップデートされました。ver4.11のCompressorでmv2変換した動画ファイルの長さは1時間29分53秒と、不具合の傾向は同じものの、誤差の出方は少し大きくなりました。
 古い方は、Mac OSのバージョンが12.7.5、Compressorのバージョンが4.6.4です。
 古いMacで変換したファイルは長くなっています。時間表示が短くなるために末尾のチャプタが消えてしまうとは限らないのは、古いMacでエンコードしたmv2は長くなっていることから分かります。しかし、昨年古いMacで作成したDVDの最後のチャプタは正常に再現されているのに対して、今年古いMacで作成したDVDの最後のチャプタは消えると言った具合に、症状が一定ではありません。

おまけ/Toastのクラシック表示でチャプタを打つ

 Compressorで作成したmv2ファイルのタイムデータが全体に縮んで短くなっているのか、或いは末尾が切れているのかは、変換前のマスターファイルのチャプタ情報を正確にToastに読み込んだmv2に打ち直せば、ある程度分かります。
 23.98fpsのProRes完成動画作成→それをCompressorで29.97fpsに2・3プルダウン処理でmv2ファイルを作成→Toast20のクラッシック表示でDVD作成 といった流れでDVDを作成する場合、mv2ファイルにチャプタを記録できないため、チャプタは手動で打つしかありません。この時、23.98fpsのProRes完成動画にチャプタ情報を記録しておけば、このファイルを直接Toastに読み込むことで、正確なチャプタのタイムデータを控えることができます。(Toastに読み込む際には、もちろんDVD作成用のToast作業ファイルとは別に、チャプタデータ確認用のToast作業ファイルを作成します。)このチャプターのタイムデータを元にDVD作成用のToast作業ファイルでチャプタを作成していけば、オリジナルのチャプタを正確に再現することができます。FCPなどのビデオ編集アプリ上でチャプタのタイムデータを読み取っても良いのですが、NDF TCを読み取ることでズレが生じても面倒です。同じToast上でタイムデータを読み取れば、ズレが生じる心配はありません。(NDF TC(ノンドロップフレームタイムコード)について詳しくは、「タイムコードとフレームレートの小数点」をご覧ください。)

Toast20proでDVD

 必要な箇所にチャプタを打てないのは困るので、Compressorで2・3プルダウン処理をしたmv2ファイルを作成するのではなく、2・3プルダウン処理済みのProResファイルに変換してからDVDを作成する必要がありそうです。この場合、Toastでmv2変換をする必要があるので、「クラシック表示モード」にこだわる必要はなくなります。「メニュー編集表示」モードで作成したところ、末尾までチャプタの記録されたDVDを作成することができました。なお、この現象は23.98fps映像を2・3プルダウン処理した29.97fpsインターレースmv2映像に変換する際に起こるようです。23.98fpsでの制作を諦めれば解決するともいえますが、23.98fpsでの撮影・編集にはコスト面や動きの滑らかさの面で利点があります。詳しくは、「24fps最強説」をご覧下さい
 Toast20の「メニュー編集表示」モードでのDVD作成手順については、これはこれで長くなるので次回以降に記載します。

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