Sachtler(ザハトラー) FSB8 Mk2

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FSB8 Mk2

 年1回程度かなと考えていたパノラマ7+7の出動回数が予想外に増えてきました。私にとってパノラマ7+7を利用する理由は、パン・ティルトのトルク調整が0+7段階あることです。その反面、カウンターバランスはアリかナシかの設定のみで、カメラの重量に合わせた調整はできなかったり、100mmボールヘッドモデルなのでヘッド自体が少々重たいといった欠点もあります。実際に重さを量ってみると、パノラマ7+7ヘッドが3.2kg、リーベックの100mmアルミ3段脚が3.6kgで合計6.8kgでした。
 Sachtler(ザハトラー)のFSB8という75mmボールモデルが数年前にMk2へとモデルチェンジをし、パン・ティルトのトルク調整が0+5段階から0+7段階に改良されました。このアップデートで、FSB8はパン・ティルトのトルク調整という面ではパノラマ7+7と同等になり、カウンターバランスの調整幅ではパノラマ7+7よりもスペックが高く、何より2.6kgと軽量です。Sachtlerの75mmカーボン3段脚が2.4kgなので合わせて5kgと、パノラマ7+7とリーベック脚の組み合わせよりも2kg近く軽量になるので購入することにしました。(現行の75mmカーボン3段脚は、もう300g重いようです。)

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FSB8 Mk2(上)とパノラマ7+7(下)を比較すると、ヘッド部分のサイズはそれほど変わらないものの、重さはFSB8 Mk2の方が600g軽量
(パノラマ7+7のボール固定用の皿とネジはリーベック脚へ取り付けるために、リーベック製のものを取り付けています)

スペック比較

 かなり古いモデルであるパノラマ7+7と比較してもピンとこないと思うので、現行品のAce XL Mk2、旧Ace L、現行品のFSB6 Mk2、FSB8 Mk2、旧FSB8の主だったスペックを比較してみます。
 なお、カウンターバランスの切り替えステップについては、ペイロードダイアグラムから予想される積載荷重の最小値と、何gづつ積載荷重が増加するかを単純計算で割り出した値です。メーカーホームページなどに公開された情報ではなく、またカメラの重心の高さによっても変わる値なので、あくまで予想の概算値として参考にしてください。

Ace XL Mk2(現行品)

  • 積載重量:0kg〜8kg
  • カウンターバランス切替:0+9ステップ
  • カウンターバランス切り替えステップ:800gスタート/900gステップ(予想値)
  • トルク:0+3ステップ
  • カメラプレート取り付け:スライドイン
  • ヘッド重量:1.7kg

Ace L(旧製品)

  • 積載重量:0kg〜6kg
  • カウンターバランス切替:0+7ステップ
  • カウンターバランス切り替えステップ:600gスタート/900gステップ(予想値)
  • トルク:0+3ステップ
  • カメラプレート取り付け:スライドイン
  • ヘッド重量:1.7kg

FSB6 Mk2(現行品)

  • 積載重量:0kg〜8kg
  • カウンターバランス切替:0+15ステップ
  • カウンターバランス切り替えステップ:500gスタート/540gステップ(予想値)
  • トルク 0+3ステップ
  • カメラプレート取り付け:サイドロード
  • ヘッド重量:2.6kg

FSB8 Mk2(現行品)

  • 積載重量:0kg〜12kg
  • カウンターバランス切替:0+15ステップ
  • カウンターバランス切り替えステップ:800gスタート/800gステップ(予想値)
  • トルク:0+7ステップ
  • カメラプレート取り付け:サイドロード
  • ヘッド重量:2.6kg

FSB8(旧製品)

  • 積載重量:1kg〜9kg
  • カウンターバランス切替:10ステップ
  • カウンターバランス切り替えステップ:1000gスタート/890gステップ(予想値)
  • トルク:0+5ステップ
  • カメラプレート取り付け:サイドロード
  • ヘッド重量:2.6kg

 既にSachtlerのサイトにFSB8(旧製品)のスペックの記載がないので、Sachtlerの国内販売を行うヴィデンダムPS社の提供する日本語マニュアルのスペックを記載しました。他のサイトなどでFSB8の重量を2.1kgと記載するものもありますが、パンバーなどのパーツの有無による違いではと思います。
 一覧にしてスペックを比べると、FSB6 Mk2はAce XL Mk2の豪華版とでもいうべきモデルといえます。一方のFSB8 Mk2は、75mmボールモデルで唯一0+7段のトルク調整機能が搭載され100mmボールモデルに近いスペックになっています。

Ace LとFSB8 Mk2

 私が使っているAce LとFSB8 Mk2との違いをみていきます。
 目立った違いは積載重量が増えること、それに伴いカウンターバランスの調整ステップ数が増えること、そしてパン・ティルトトルクの調整幅が増えることです。ただし、価格面ではFSB8 Mk2の方が3から4倍ほど高価になる分、上記以外にも各所に細かな便利機構が盛り込まれています。

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FSB8 Mk2(上)とAce L(下)を比較するとFSB8 Mk2の方が一回り大きいが、サイズ差ほどの重量差は感じられない

対応カメラ重量

 Ace Lが6kgまでなのに対して、FSB8 Mk2は12kgまでとかなり大型のカメラを載せることができます。(ただし、75mmボールで12kgのカメラを支えるというのは、若干の不安があります。大型カメラを使う機会が多いのであれば、100mmボールモデルの方が安心なように思います。)
 また、カウンターバランスの調整ステップ数もAce Lが0+7段なのに対してFSB8 Mk2は0+15段と多くなっています。ただし、FSB8 Mk2の方が最大積載重量が重いので、1ステップづつのカウンターの変化は同程度のようです。
 私の場合、12kgのカメラを使うことは無いかなと思うのですが、カウンターバランスの対応重量はカメラの重心の高さによって増減します。それほど重くないカメラでも、重心が高いカメラにはより強力なカウンターバランスの設定が必要になります。
 例えば、FX30のように軽量なカメラでも、トップハンドルを取り付けたりそこにマイクや液晶モニタを載せると重心は高くなり、ハンドルや液晶モニタなど追加した機材の合計重量よりも重いカウンターバランスの設定が必要になります。そういった意味では、積載重量に余裕があるに越したことはありません。

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FSB8 Mk2(左)とAce L(右)のカウンターバランス調整ダイヤル

トルクのステップ数

 トルクのステップ数は、現行のAceシリーズやFSB6 Mk2も0+3ステップです。0+7ステップのトルク設定が可能になるのは、FSB8 Mk2からです。
 より大きなトルク、つまり重たいトルク設定が役立つのはゆっくりとしたパンやティルトを行う場合です。特に、望遠レンズで5度とか10度といったごく僅かな角度を数秒かけてパンやティルトするといった場合に、重いトルク設定はとても役立ちます。ティルトのトルクについては、カウンターバランスを補うような側面もありますが、基本的にはカメラを振るスピードの調整で役立つ機能です。

 短いカットのみを撮影するだけならば、こういったゆっくりとしたカメラ操作をAceのような3段切り替えのトルク設定で行うことも可能です。しかし、コンサートなどを長時間連続して撮影するような場合、軽いトルク設定の雲台でゆっくりとしたカメラワークを続けるのはなかなか難しいものです。
 また、長時間の撮影の場合、次のカメラワークを思案しながら撮影する必要もあり、一つのカメラワークに集中しきれないケースもままあります。そういった場合に、楽に難易度の高いカメラワークを行えた方がストレスなく撮影を行えます。
 なお、トルク調節のための操作リングの動きがAce Lではかなり硬めだったのですが、FSB8 Mk2では滑らかです。操作リングの径が大きいためにそう感じるだけかもしれませんが、切り替え操作が楽なのは助かります。

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FSB8 Mk2のパン・ティルトトルク調整ダイヤル

横から確認できる水準器

 雲台の水平を確認するための水準器は、上からだけでなく横からも確認できるよう改良されています。カメラ位置を高くした場合、水準器が見づらく不便なものです。これが横から確認できるのはとても助かります。

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FSB8 Mk2の水準器はプリズムが組み込まれており、横からも確認できる

 また、水準器には照明機能もあり、カウンターバランスの値も照明される設計です。暗いホールや夜間の撮影では役に立ちます

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FSB8 Mk2の水準器照明機構
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スイッチの長押しで、カウンターバランスとトルクダイヤルも照明される

 水準器を横から確認するプリズム部分がボタンになっていて、ここを押すと水準器が照明されます。写真tr07_photo_07は、水準器の照明が点灯した状態です。ボタンを長押しすると、ティルトのトルクダイヤルとカウンターバランスの設定ダイヤル部分、パンのトルクダイヤル部分が追加で照明されます(tr07_photo_08)。写真ではパンのトルク調整ダイヤルの照明が暗く見えますが、肉眼では十分に数値を確認できる明るさです。

パンバー

 Ace Lに比べ、FSB8 Mk2の方が少し長いパンバーを装備しています。しかし、FSB8 Mk2のパンバーはパノラマ7+7のパンバーと比べると短く、できればもう少し長いモデルも欲しいところです。
 Sachtlerでは伸縮式のパンバーも製造・販売しているのですが、価格が約5万円と伸縮機構があるとはいえ「棒」にしては大変高価です。FSB8 Mk2自体も約20万円となかなかに高価なのですが、パンバーがその1/4の値段というのは流石に高すぎるだろうと思い、入手をためらっています。

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上からパノラマ7+7用、FSB8 Mk2用、Ace L用のパンバー

タイダウン

 Sachtlerでは、ボールヘッドを三脚に固定するネジと皿を「タイダウン」と呼んでいます。この呼び方が三脚関連で一般的なものなのか、私は詳しく知りません。このパーツを「クランプ」などと呼ぶメーカーもあるようです。
 このタイダウンの形状がAceとFSBでは異なります。どちらの形状が優れているといった違いは感じませんが、積載重量の大きなFSBの方がボールヘッドを強く締め付けることができる設計になっているのかもしれません。

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AceとFSBでは、タイダウンの形状が異なる

カメラプレートと脱着

 カメラプレートはAceで採用しているマンフロット互換のプレートと同じ規格のもので、AceカメラプレートとFSBのカメラプレートは互換性があります。プレートに印刷されたメモリが、Aceのものよりも細かくなっているといった差はありますが、工作精度自体は同じ程度に見えます。

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FSBのカメラプレート(左)とAceのカメラプレート(右)(裏面も仕上げに差異はない)

 AceとFSBではプレートの脱着方法が異なり、Aceシリーズはカメラプレートをスライドさせることで装着して固定ネジを締めるのに対して、FSB8 Mk2は上から斜めに押し込んでから固定ネジを締める方式です。

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FSBのカメラプレート取り付けは、斜めにプレートをセットし(続く)
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水平に押し込み、固定ノブを締め付ける

 取り外しは、固定ネジを緩めてからヘッド後方のノブを押し込むことで、「パチン」という解除音と共にプレートが斜めに浮き上がります

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FSBのカメラプレート取り外しは、固定ノブを緩めてから後方のノブを押し込むと(続く)
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プレートの片側が浮き上がる

 メーカーでは「サイドロードシステム」と呼んでいます。固定ノブの操作を伴うので「ワンタッチ」ではなく2つの動作が必要ですが、Aceのスライドさせる脱着方式に比べてスマートです。カメラの脱着の多い撮影では、FSBの方が作業がスムーズに進みそうです。
 また、Aceではプレートの前後を間違えるとヘッドに取り付けることができないのですが、FSB8 Mk2ではプレートの前後に関係なくヘッドに取り付けることができます

外装

 恐らくAce Lの外装はプラスチック製と思われるのに対して、FSB8 Mk2は金属製だと思います。あくまで推測ですが、積載重量やそれに関連したカウンターバランス、パン・ティルトの調整幅を7段まで増やしたこと、カメラプレートのサイドロード方式などの機構にAceよりも強度が必要なため金属素材を使った外装になっているのだと思います。

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FSB8 Mk2

 製造はAceと同様にコスタリカ工場での生産のようです。ヘッド上部の「Made in Costa Rica」の記載の近くにはQRコードが印字されています。スマートフォンで読み取ってみると、シリアルナンバーがQRコード化されて印字されているようです。

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ヘッド上部の生産国表記とシリアルナンバー(シリアルナンバーはユーザー登録に使うので、QRコードを一部書き換えています)

aktivやflowtechという選択肢

 私は既にAce Lとカーボン三段脚のセットを持っているので、FSB8 Mk2のヘッドのみを購入しました。
 新しい水平調整機構を搭載したaktivも興味深かったのですが、aktivシリーズはボールヘッドの取り付け機構が従来品とは異なるため、Aceと脚を共用することが面倒になるため、今回は見送りました。軽量なヘッドという点でAceを持ち出す機会が多いことを考えると、脚が共用できる方が助かります。
 また、flowtech脚にも興味はあるのですが、75mmボール用のモデルの場合、カーボンパイプタイプの三段脚よりも2kg重くなるため、相応に体力作りをしないと運用が難しそうです。

Tタイプという選択肢

 Sachtlerのヘッドには、型番の末尾に「T」と付くモデルがあります。通常のモデルが細長いカメラプレートそのものをヘッド上で前後にスライドさせてカメラの重量バランスをとるのに対して、Tタイプではヘッドのカメラ取り付け部分そのものが前後にスライドすることでカメラの重量バランスを調整します。あらかじめカメラバランスの前後を調整しておけばカメラの脱着時毎にバランス調整を行う必要がなく、便利な機構です。
 Sachtlerのより大型のビデオ雲台にはTタイプのものが多く、ある意味でSachtlerの代名詞的な機構となっています。しかし、75mmボールのFSBシリーズにはTタイプはなく、Tタイプモデルがあるのはactivシリーズだけです。その点では比較検討する必要はないのですが、いずれのモデルの方が使い勝手が良いか、Tタイプを入手するためにactivモデルを検討する必要があるのかを考えます。
 Tタイプのカメラプレートは小さく、カメラに取り付けたままでも邪魔になりません。その代わり、プレートを付けた状態でカメラをテーブルなどに置いた時、プレート部品が小さいので座りが悪く不安定になります。また、ヘッドのスライド部分でカメラバランスを調整しておいても、三脚の運搬中に微妙にズレてしまいます。結局のところ、カメラをセットする際に微調整が必要になり、「一度調整してしまえば手間いらず」といったことはありません。
 また、Sachtlerの大型シネマカメラ用のCineシリーズはTタイプではありません。この理由について詳しくは判りませんが、シネマカメラではズームレンズや単焦点レンズなど、レンズ交換によってカメラの重量バランスが変わることが多く、カメラプレートそのものがスライドする機構の方が向いているためではと考えられます。
 また、aktiv8TとFSB8 Mk2を比べた場合、Tタイプのスライド幅は60mmなのに対して通常のモデルは120mmと倍の調整幅があります。レンズ交換の機会が多いミラーレスカメラでの運用ならば、通常モデルの方が向いていると言えるかもしれません。
 また、私の場合はAceとの併用も考えているので、カメラプレートに互換性がある通常モデルの方が便利なように思います。

スチル撮影での使用

 このヘッドを購入するにあたって、ブログやYouTubeのレビューをいくつか見てみました。すると、そのほとんどがスチル写真用途に購入した方のレビューでした。製品としてはムービー用途のヘッドなのですが、案外スチル用途の方が人気があるのかもしれないという印象です。スチル撮影といっても用途はさらに限定されて、野鳥を撮影される方に人気のあるヘッドのようです。私は野鳥の撮影を行わないのではっきりとは判らないのですが、重たい超望遠レンズを取り付けた際のカウンターバランスの効き具合と、パンティルトの滑らかさに人気があるようです。
 FSB8 Mk2の積載重量が最大12kg。一方、もう一つ下位機種のFSB6 Mk2は8kgと、こちらはAce XL Mk2と同等です。スチルならば8kg程度でも十分なのではとも思うのですが、積載重量は重心の高さによって大きく変化するので、或いはFSB6 Mk2やAce XL Mk2では不足するシーンがあるのかもしれません。
 私が重要視した7段階のパン・ティルトトルクの切り替え機能は、カウンターバランスの調整さえしっかり行っていればスチル写真でそれほど重要視する機能ではないように思います。むしろ、重いトルク設定は、シャッターチャンスを逃す可能性もあり、3段階のトルク切り替えがあれば十分なようにも思います。もっとも、先にも記載したとおり私は野鳥の撮影経験がないので、大型の超望遠レンズを使ったスチル撮影では案外重いパン・ティルトのトルク設定が役立つシーンがあるのかもしれません。

実際に使ってみて

 Ace Lで気になっていた水準器の精度ですが、Ace Lよりは正確に感じます。精度云々というよりも、水準器のサイズが大きいので水平出しの作業が正確に行えるように感じます。また、横から確認できる機構も水平出しの精度を上げるのに役立ちます。
 そもそも雲台に取り付けられた水準器は真上から確認できないものが多く、これでは正確な水平出しは難しくなってしまいます。水準器を横から確認できるデザインは、雲台を高所に設置する場合に役立つだけでなく、水準器を真上から確認しづらいといったデザイン的な問題を解決してくれる工夫だと思います。
 軽いモデルが欲しくて購入したのですが、三脚は重さもスペックのうちというか、重さで安定性を確保している側面があります。雲台を含めて三脚全体が軽くなることで、安定度が下がるのではといった懸念がありました。事実、Ace Lを使用している際には、素早いパンをした弾みで三脚が傾いてしまうといったトラブルもありました。これについては、オモリとしてカメラバッグを吊るすなどの対処をすることで、安定性を確保しています。
 機構的なスペックとして最も期待したパン・ティルトの7段階トルクは、パノラマ7+7のトルクとほぼ同じようで、期待どおりです。FSB8 Mk2とパノラマ7+7を並べて操作してみましたが、パンバーに感じる重さはトルク設定の各段階で同程度の重さに感じます。
 パノラマ7+7と比べてパンバーがわずかに短いのが気になります。特にこのヘッドに期待するようなゆっくりとしたパン・ティルト操作では、「あと数センチパンバーが長ければ」と思うことがあります。ただし、伸縮式のパンバーは前述のように高価なので、もう少し練習をしてみてから検討します。
 2時間程度のステージ収録に使ってみて、トルク調整、カメラプレートの脱着、水準器の視認性、カウンターバランス調整等、全てにわたってAce Lとの価格差分の操作感の向上が実感できました。(これは、つまり2機種について同程度のコストパフォーマンスであると感じられたという意味です。)

まとめ

 FSB8 Mk2は7段階のパン・ティルトトルクの調整機能があり、Ace Mk2シリーズやFSB4、FSB6Mk2よりも重いトルク設定が4段階分加わっています。この重いトルク設定は、ゆっくりとしたパン・ティルト操作に役立ちます。特に望遠撮影時にゆっくりとした操作をする場合に威力を発揮します。
 Aceシリーズをコピーした他メーカー製品は多く見かけますが、FSB8のスペックに匹敵するものはないようです。75mmボールモデルで重いトルク設定が可能なビデオ雲台という条件で探すと、FSB8 Mk2ほぼ一択だと思います。
 FSB8 Mk2はAceシリーズに比べて機能面が充実する一方、重量が増加します。前職でお世話になった方がFSB8Tを使われていて、撮影時にしばしば運ぶのをお手伝いしました。徒歩移動の多いロケでは、なかなかに重さがこたえたのを覚えています。そのため、私はまずAce Lのセットを購入しました。Ace Lとの重量差は900gなのですが、三脚だけを運ぶわけではないので一つづつの荷物は少しでも軽い方が有り難いです。そのため、今後も移動の多い撮影など軽量であることが要求される撮影ではAce L、三脚を1箇所に据えての長丁場の撮影ではFSB8 Mk2といった具合に、撮影内容によって使い分けていくことになると思います
 三脚は比較的進歩の速度がゆっくりとしているので、長く使うことができます。デジタルカメラが4から5年でモデルチェンジをして、しかも飛躍的な性能向上をするのに対して、三脚のモデルチェンジのペースは緩やかで、機能の変化も少ないといえます。少々の出費でも、必要と感じた時に投資しておくと良い機材の一つです。
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