SSDの話

 近年ではSSDをパソコンの内蔵用ストレージに搭載している場合も多く、作業用のストレージとしてHDDよりもSSDを利用する機会が多いのではと思います。また、外付けのストレージとしてもSSDの容量と価格がだいぶこなれてきたので、映像編集用の外部ストレージにSSDを使用するというのも珍しくないと思います。
 HDDに比べてアクセス速度の速いSSDは、映像編集用のストレージとして最適です。また、HDDのようにメカニカルな機構を持たないために故障も少なく、振動などを気にせず様々な場所に持ち出すことができるなど、編集作業の幅も広がります。
 一方でHDDに比べてよく判らない不具合に出会うこともあります。調べてもなかなか解決せず、接続するケーブルを変えてみるとか再フォーマットをかけてみるといった対処しかできないといったことも多いようです。今回は、私が使っているSSDの話と、それらのSSDを使う中で原因が判然としない不具合の話です。

MicronとSamsung

 私の場合、2015年頃から外付けのSSDを使いはじめて徐々に容量の大きいものを購入し、2019年には約8TBのSSDを入手しました。当時MacBookと共に持ち歩ける大容量SSDを探していたところ、「Micron (マイクロン) 5210 ION SSD」という7.68TBの容量のSSDが発売されたという記事をみて購入しました。当時で11万5千円程だったのですが、今この製品のAmazon商品リンクを見ると約19万円と随分値上がりしているようです。新製品への世代交代の速いこのジャンルで6年前の製品がまだ販売されていることも驚きですが、容量単価が年々下がるパソコン関連の商品で値上がりしていることも驚きです。

写真 pc10_photo_01
Micron 5210 ION SSD
写真 pc10_photo_02
Micron 5210 ION SSD

 その翌年にはSamsungから8TBのSSDが登場したという記事をみて、こちらも購入しました。「Samsung 870 QVO 8TB SATA 2.5インチ」という製品で、当時で約9万9千円だったのですが、こちらのAmazon商品リンクを見ると現在は約11万円と1万円ほど値上がりしているようです。
 コロナで騒いだ時期の工業製品や半導体の不足、円安の影響、物価の上昇に伴う価格高騰が、デジタル機材の容量単価の低下を上回っているようです。

写真 pc10_photo_03
Samsung 870 QVO 8TB
写真 pc10_photo_04
Samsung 870 QVO 8TB

SSDの種類

 SSDには接続方式や記録方式に幾つかの種類があります。
 接続方式は、大きく分けてSATA方式とPCIe方式の2種類があるようです。また、SATA接続のものでも、端子サイズの違いがあります。
 一方の記録方式は、SLC、MLC、TLC、QLCと4つのタイプがあり、順に読み書きの速度が遅くなり寿命も短くなるといった違いがあるようです。
 私が購入した「Micron 5210 ION」と「Samsung 870 QVO」はSATA接続の2.5インチHDDと同じサイズのもので、適当なケースを購入すれば外付のストレージとして使用できます。また記録方式はQLCで、SSDとしては読み書きの速度が遅く、なおかつ寿命も短いモデルです。QLCタイプは速度や寿命の点で他のモデルに劣るものの、比較的安価に大容量化が可能といった特性があるようです。また、読み書きのスピードがそれほど速くないためだと思いますが、発熱もそれほど気になりません
 読み書きが高速なタイプのSSDでも、動作時の発熱対策を行わないと速度性能が発揮できないようです。負け惜しみのような言い方ですが、QLCタイプで速度が振るわないのも悪いことばかりではありません。
 Amazonの商品ページに記載されたスペックだと、「Micron 5210 ION」で読み出しが540MB/s、書き込みが360MB/s。「Samsung 870 QVO」で読み出しが560MB/s、書き込みが530MB/sです。実際にBlackmagic Disk Speed Testというアプリで読み書きの速度をテストしてみると、ほぼ近い値が出ています。より高速な製品と比較すると見劣りする速度ですが、4Kの動画編集でもコマ落ちが発生するようなことはありません。
 寿命が短いことが気になるところですが、購入から5、6年経った現在でも寿命を感じる不具合はありません。それでも突然の不調などが心配なので、1日の作業終了時はもとより撮影素材のキャプチャなど大きなデータを書き込んだ後にはHDDにバックアップを取るようにしています。もっとも、バックアップはSSDの寿命の長短に関わらず、定期的におこなった方が安心だと思います。
 バックアップには、「FCPの編集データをバックアップ その2 差分検知アプリを使う」で紹介したSync Folders Proを使っています

不具合 1

 この2種類のSSDを使い始めた頃、一時不安定なことがありました。使い始めて1年以上経ってから不具合が起きたので、SSDの問題というよりもMac OSのアップデートに伴ってUSB接続の仕様が変更されたような印象でした。
 具体的には、作業中になんの前触れもなくSSDがアンマウントされてしまうといった具合です。ドライブがアンマウントされてしまうと、作業中のデータが失われるばかりか保存済みのデータにも不具合が出る心配もあります。
 「Micron 5210 ION」や「Samsung 870 QVO」を購入する前に使っていた1TB程度の容量のSSDは、突然のアンマウントを起こすようになって寿命を迎えたので、少し焦りました。当時で1年以上使っていたとはいえ、1、2年の使用で寿命となってしまうのでは早すぎます。

 この時は、SSDを入れるケースをThunderbolt対応の製品に変更することで改善しました。2.5インチストレージ用のケースにも様々な種類のものがあるので、購入した製品がベストな選択か判りませんが、「Cable Matters USB3.1 Gen2 2.5インチ HDD ケース SSD ケース」という製品に変更して症状は安定しました。
  MacBookに接続する場合は、できればケーブルもThunderbolt対応の製品を使用した方が安定するような印象です。

写真 pc10_photo_05
Cable Matters USB3.1 Gen2 2.5インチ HDD ケース SSD ケース

不具合 2

 「Micron 5210 ION」、「Samsung 870 QVO」いずれも、使用期間が長くなるとともにマウントする速度が遅くなっているようです。また、デスクトップにアイコンが現れてからも、実際に読み書きできるようになるまでに時間がかかるようになってきました。HDDの場合、同じ8TBの容量のところに6TB、7TBと容量のギリギリまで保存しても、マウントする速度が遅くなるといったことはありません。これは、「Micron 5210 ION」、「Samsung 870 QVO」といったSSDに共通する症状のようです。
 劣化に伴う症状を疑っていたのですが、まとまったプロジェクトが終わって内容を消去すると改善しました。また、記録内容を消したついでに、フォーマットを「Macジャーナリング」から「APFS」に変更してみました。マウント速度の改善は、こういったフォーマット変更も影響しているのかもしれません。
 フォーマットなどの作業で症状は改善したのですが、再び保存しているデータ量が増え始めると、やはりマウントする速度が落ちるようです。つまり、ストレージに保存しているファイル数が増えると、マウントする速度が落ちるように感じます。ただし、マウントしてからも暫く読み書きできないといった症状は起こらなくなりました。APSFフォーマットの効果なのかもしれません。
 マウント速度の低下は、もしかしたらSSDの経年劣化にも関係しているかもしれません。例えば、劣化している保存領域にデータを保存するとマウントする速度が低下するといった因果関係があるのかもしれません。保存などの動作時に作動音のしないSSDなので、読み書きの速度などから状態を推測するしかなく、厄介なところです。

まとめ

 MacBookにUSBで接続するSSDで接続が不安定な場合は、ケースやケーブルをThunderbolt対応のものに交換することで改善する場合があるようです。また、保存したデータ量が増えてくると、パソコンへのマウントに時間が掛かるようになる場合があるようです。保存しているデータ量の影響なのか、SSDのフォーマット形式やバスパワーで運用していることに影響されるのかなど、原因がはっきりしません。効果的な対策方法が見つかったら、また記載します。
 原因のよくわからない微妙な不具合はあるものの、現在のところ映像編集での使用に大きな問題はありません。本文中で紹介した、
「Micron (マイクロン) 5210 ION SSD」のAmazon商品リンクはこちら
「Samsung 870 QVO 8TB SATA 2.5インチ」のAmazon商品リンクはこちら
「Cable Matters USB3.1 Gen2 2.5インチ HDD ケース SSD ケース」のAmazon商品リンクはこちら
です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です