シャッタースピード 〜FX30のシャッター角度設定の「F」
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シャッター開角度とシャッタースピード
動画用カメラには、シャッタースピードをシャッター開角度という値で表す機種があります。これは、映画用フィルムカメラの「ロータリーシャッター」という機構の名残りです。
映画用フィルムカメラのシャッターは、多くの機種で円盤状の板の一部を切り欠いたものが使われています。フィルムが露光される窓=アパーチュアの前でこの円盤が回転し、レンズからの光をフィルムにあてる、遮るという動作を繰り返します(c16_fig_01)。

映画用フィルムカメラの回転式円盤シャッター
光が遮られている間に、フィルムは次の撮影ポジションに1フレーム分送られます。1秒間の撮影枚数、すなわちfpsの値が1フレームに与えられる最大の露光可能時間となり、24fpsの場合は1/24秒が最大の露光可能時間です。しかし連続的に撮影を行うには、フィルムを次の撮影位置に送るためにシャッターを閉じる時間が必要になります。このフィルムを送る時間は、1フレームに与えられた時間の半分の長さを必要とするカメラが大多数です。この時円盤状のシャッターは、半分の180度が切り取られた形状になります。この切り取った角度が、シャッター開角度です。
24fpsの場合、1/24秒のうち半分の時間はシャッターが閉じているため、フィルムに光があたる時間、つまりシャッタースピードは1/48秒となります。全てのカメラでシャッター開角度は180°と決まっているわけではなく、フィルムを送る機構によっては180度よりも狭い開角度のカメラや、200度前後の広い開角度をもつカメラもあります。それでもフィルムを次のコマに送るという動作の必要性から、シャッターが閉じる瞬間は不可欠であり、映画用のカメラのシャッタースピードはfpsの値よりも速いシャッタースピードにならざるを得ません。
フィルムカメラでは不可能なシャッター速度設定
デジタル撮影機器では、シャッター速度をfpsの値と同じ数値まで落とすことができる機材が多くあります。具体的には24fpsの時に1/24秒のシャッタースピードに設定できるということになります。シャッター開角度でいえば360°という設定値で、これはフィルムカメラでは不可能な設定になります。
ハイスピード撮影(スローモーション撮影)用のカメラで、フィルム送りとシャッターの機構に多面体プリズムを使った機材があり、例外的にシャッターを閉じるといった動作をしないカメラもあります。ただし、この機構について私は実物を見たことはないので、実際にシャッターを閉じる瞬間が全くないのか、多面体プリズムにシャッターに相当する機構が組み合わされていたのかは分かりません。そしてこれは特殊なカメラで、撮影できる映像もシャッター機構を持ったカメラよりも鮮明度が僅かに落ちるなど、例外的なケースと言って良いでしょう。
こういったフィルム用映画カメラの機構の名残りから、デジタル機器での動画撮影でもシャッタースピードはfps値の半分の時間のシャッタースピードが推奨されています。このシャッタースピードで撮影した場合、撮影された映像で動く被写体の残像は、シャッターを閉じている時間分だけ途切れます(c16_fig_02)。

シャッター開角度180°の場合の残像
これを360°のシャッター開角度で撮影した場合、実質的にシャッターが閉じる瞬間がないため、残像は次のコマの像と完全につながります。

シャッター開角度360°の場合の残像
FX30のシャッター開角度「F」
SONYのFX30は、シャッターの設定をシャッタースピードとシャッター開角度の2種で設定できます。メニューの「露出/色」設定の「1.露出」の「シャッターモード」で設定します。「スピード」がシャッタースピード表示、「角度」がシャッター開角度表示になります。(恐らく同社のFXシリーズは同様な設定が組み込まれているのだと思いますが、私が実際に操作したことがあるのはFX30のみなので、FX30に限定して記載します。)
「角度」設定にしたとき、シャッター開角度を360°よりも広い角度に設定することができます。この時、「F」という単位が現れます。このFの意味がよく分からないのですが、どうも360°を示すようです。2Fの場合は2×360°、つまり720°となり、2フレーム分の露光時間となるようです。つまり24fpsの場合は、1/24の倍の露光時間となる1/12秒のシャッタースピードとなります。
カメラのフレームレート設定が24fpsの時に2Fのシャッタ開角度で撮影した場合、撮影される動画のフレームレートは12fps相当となります。ここで「相当」というのは少々ややこしく、撮影される動画ファイル自体は24fpsのファイルとして作成されます。しかしその動画ファイルは1秒間に12枚の画像しか記録されません。つまり、同じフレームが2フレームづつ記録された動画ファイルが作成されることになります。
FX30の最も広いシャッター開角度の設定値は、64Fです。64Fに設定した場合のシャッタースピードは64/24秒、つまり2.67秒となり、フレームレートは0.37fpsになります。
シャッターモードを「スピード」に設定した場合でも、fps値よりも遅いシャッタースピードに設定することができます。しかし「角度」設定の場合とは異なり、1/4秒が最低速になります。また、角度に設定した場合のステップと「速度」に設定した場合のステップは異なります。
以下にスピード設定時と角度設定時の設定値を書き出しました。スピード設定時は写真用の1/3絞り刻みの設定値に加えて1/48や1/96といった24fps撮影用のシャッタースピードが用意されているのに対して、角度設定時は172.8°や144°といった24fps、25fps、30fps撮影時の照明同期用の角度設定が用意されているのが特徴です。この角度は、フィルム映画用カメラで採用されていた値です。
FX30のスピード設定時のシャッター速度一覧
| シャッター速度 | 備考 |
|---|---|
| 1/8000 | |
| 1/6400 | |
| 1/5000 | |
| 1/4000 | |
| 1/3200 | |
| 1/2500 | |
| 1/2000 | |
| 1/1600 | |
| 1/1250 | |
| 1/1000 | |
| 1/800 | |
| 1/640 | |
| 1/500 | |
| 1/400 | |
| 1/320 | |
| 1/250 | |
| 1/200 | |
| 1/160 | |
| 1/125 | |
| 1/100 | |
| 1/96 | |
| 1/80 | |
| 1/60 | |
| 1/50 | |
| 1/48 | (24fps時標準シャッタースピード) |
| 1/40 | |
| 1/30 | |
| 1/25 | |
| 1/24 | |
| 1/20 | |
| 1/15 | |
| 1/13 | |
| 1/10 | |
| 1/8 | |
| 1/6 | |
| 1/5 | |
| 1/4 |
24fps(23.98fps)で角度設定時の低速シャッター設定(角度設定の場合、fps設定によってシャッタースピードは異なります。)
| 角度 | 24fps時のシャッター速度 | 備考 |
|---|---|---|
| 5.6° | 1/1543 | |
| 11.25° | 1/768 | |
| 22.5° | 1/384 | |
| 30° | 1/288 | |
| 45° | 1/192 | |
| 72° | 1/120 | |
| 86.4° | 1/100 | |
| 90° | 1/96 | |
| 120° | 1/72 | |
| 144° | 1/60 | 24fps時60Hz照明同期用 |
| 150° | 1/57.6 | 25fps時60Hz照明同期用 |
| 172.8° | 1/50 | 24fps時50Hz照明同期用 |
| 180° | 1/48 | 25fps時50Hz/30fps時60Hz照明同期用 |
| 210° | 1/41 | |
| 216° | 1/40 | 30fps時50Hz照明同期用 |
| 240° | 1/36 | |
| 270° | 1/32 | |
| 300° | 1/29 | |
| 360° | 1/24 | |
| 2F° | 1/12 | |
| 3F° | 1/8 | |
| 4F° | 1/6 | |
| 5F° | 5/24 | |
| 6F° | 1/4 | |
| 7F° | 7/24 | |
| 8F° | 1/3 | |
| 16F° | 2/3 | |
| 32F° | 4/3 |
まとめ
低速シャッターは、低照度時の撮影や意図的に像をブレさせるのに役立ちます。また、fps値と同じシャッタースピード(360°のシャッター開角度)での撮影は、フィルムでは(ほぼ)不可能な設定になるので、デジタル機器特有の撮影手法と言えるかもしれません。

